『がら紡』とは?

 

 

『がら紡』というのは、

 

明治の初めに日本で発明された紡績(糸紡ぎ)機械のことです。

 

 

正式名称は『臥雲式和紡績機』と言いますが、糸を紡ぐ時に「ガラガラガラ」と音を立てるので、『がら紡』と呼ばれるようになりました。

 

 

 

 

 

・がら紡の歴史  

~日本で発明された紡績という歴史的価値~

 

 

 

がら紡機は、臥雲辰致(がうん たっち)という長野のお坊さんによって発明されました。

それまで紡績は「糸車」などの道具を使って手作業で行われていましたが、この発明によって一度に何本かの糸が、誰でも簡単に紡げるようになりました。

 

西洋の産業革命を支えた「西洋紡績機の発明」とは全く別の流れとして、日本でも「和紡績機」が発明されたということは、日本の歴史においてもとても重大な出来事であり、そしてその中でも「がら紡」は現在もなお生産されている唯一の「和紡」の糸と言われています。

 

 

 

がら紡機は1877年(明治10年)8月、大久保利通によって東京上野で開催された「第一回内国勧業博覧会」にて最高の賞を与えられ、その後急速に普及していしました。

 

中でも三河地方の人々はがら紡の動力に「水車」を使い、いち早く産業化に成功しました。

多い時では千数百軒ものがら紡工場があったと伝えられています。

 

しかしその後、日本にも海外から西洋式紡績機が導入され、がら紡は徐々に衰退していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・がら紡糸(和紡)と西洋紡の違いは?

 

~デメリット?それともメリット?~

がら紡糸


○比較的太い

○撚り(糸のねじり)が甘い

○不均一なでこぼこした糸

○弱くて切れやすい


西洋紡績糸

○太いものも細いものも調節自在

○撚りが強い

○均一でまっすぐな糸

○丈夫で切れにくい

 

私たちが普段身に着けたり日常的に使っている布は、ほとんどこの「西洋紡績糸」からできています。とても利便性に優れ、大量に早く生産することができるため、がら紡はだんだんと作られなくなってしまいます。

 

糸の特徴を見ても、西洋紡績に比べ、がら紡の糸は一見粗悪な糸のように思えます。

しかし、本当にそうでしょうか?

 

 

 

 

 

がら紡の糸は、撚り(糸のねじり)が甘く、引っ張るとすぐに切れてしまう、とても優しい糸です。

 

そのため、触ってみると「綿の風合い」がそのまま残っていることがよくわかります。

 

 

まるで「手紡ぎ糸」のような風合いのふわふわとした綿のふくらみが、肌を優しく包み込んでくれます。

 

 

 

 

 

 

○吸水力・保水力バツグン!

 

がら紡は綿の風合いを残しているため、綿の繊維が水を吸い糸自体が保水します。

西洋紡績糸が織りの工夫(パイル・ワッフルなど)で吸水・保水力を持たせているのに対して、がら紡の布はシンプルな「平織り」でも大丈夫です。

また「吸油性」にも優れ、汚れもよく落としてくれます。

 

 

 

 

○柔らかさバツグン!

 

がら紡の布をお身体洗いなどに使うと、布表面のけば(毛羽)が脱落して、摩擦を和らげてくれます。肌の代わりに、布の方が傷んでくれると言われています。

 

 

 

がら紡の糸は、西洋紡績と比較すると、使いにくく粗悪で乱雑な糸であるという印象がありましたが、それらの特徴も、用途によってはとても機能的で、優しい風合いの、とても優れた糸なのです。

 

・がら紡のリサイクル ~マテリアルリサイクルとケミカルリサイクル~

(準備中)

・本気布のがら紡布 ~『三河布史』のつくりかた~

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・がら紡布の使い方  ~そのまま使う、素材として使う~

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